k3の駄文録

テキトーに書いています。

おれのかんがえやすむににたり

危機管理の基本は常に「敵」に逃げ道を残してそこに誘導し、武力を使わずに問題を解決すること。これこそが真の意味での勝利と言える。

確かに武力行使は外交の延長線上にあるものの、実際に戦争になればそれは双方に死者が出ることを意味し、軍事的に勝利したところで政治としては敗北である。

この原則にのっとって現状を観察すると、ドイツのメルケル首相が話し合いを促すのは正しく、日本の安倍首相やアメリカのトランプ大統領のように、話し合いは無駄だとして話し合いのテーブルを用意もせず、経済制裁の強化と軍事的圧力を強めることしか行わないのは間違った危機管理である。

 

では、どういう状態が最も望ましいのか。

なによりも、北朝鮮の非核化が世界と北朝鮮にとっての勝利となる状況を整えなければならない。

非核化が北朝鮮勝利となる条件にするには、北朝鮮が完全・確実な非核化を実施すれば、アメリカは北朝鮮を攻撃しないと確約しなければならない。

アメリカはこれまでアフガニスタンイラクリビアパナマ等で行ってきた軍事攻撃を行ってきた。これらの実績から、アメリカは北朝鮮から、反撃できない弱い国に対しては軽々と主権を侵害し、国民を殺害する危険な覇権国家であると認識されている。

自国を守るためにはアメリカに反撃できる能力を持っていることを示さなければならず、そのために最も有効な手段が核ミサイルなのである。そのため北朝鮮これまで手段を択ばず、国際社会を騙してでも核開発を行ってきた。

この状況を変えない限り、北朝鮮は決して核武装を放棄することはないだろう。

 

アメリカが核を完全放棄した北朝鮮に対し軍事攻撃を行わないという確約を行えない場合、戦争を回避するシナリオは、今の北朝鮮核武装国として認め、その抑止力によって国際社会は北朝鮮への軍事攻撃を行わないという状況しかない。すなわち、北朝鮮が要求する通り、北朝鮮核武装国家として扱うことを認めることである。

これは、北朝鮮にとっては完全勝利、国際社会にとっては一部敗北を意味する。極東に冷戦状態が発生することを容認し、戦争による死者が出ないことだけが唯一の慰めとなる状態である。

戦争を行わないのは十分大きな成果であるが、北朝鮮による数多の人権侵害、主権侵害を解決できないという点で無条件に喜べるものではない。

 

北朝鮮はこれまで、世界中の一般市民を拉致、監禁し、自国のスパイを養成するための語学教師などとしてきた犯罪国家である。金正恩体制になってからはさらに凶悪性が増しており、政敵とみなした自身の兄を他国で暗殺したり、北朝鮮の体制を批判した韓国の記者に対し、勝手に自国で裁判を行い、死刑(という名の暗殺宣告)を行っている。

これは他国の主権を明確に侵害している。このような北朝鮮核兵器を維持し、核武装を国際社会が認めるということは、北朝鮮による各国でのテロ、暗殺、その他の人権侵害および主権の侵害に対して国際社会は水際防御以外何もできない、ということを意味する。

それでも一応は安定した状態であるので、例えば北朝鮮の関係者を入国禁止にするなどの措置で一定の防御を達成することはできるだろう。

 

国外にいる外国人に対して殺害を宣言するのは、過去にタリバンなどのイスラム原理主義組織が行ったが、それらは国家としての正当性を認められることはなかった。

北朝鮮がこれら原理主義テロリストと同様のことを行っているにもかかわらず、その体制が国際社会から認められるということは、核さえ持てばテロリストでも国家として認められるという前例・実績となる。

このようなルールが認識されてしまったら、ISなどのテロ組織はどうするか。なんとしても核兵器を手に入れて自組織を国として認めさせようとするだろう。これは国際社会が行ってきた核不拡散政策の敗北である。

国際社会の矛先を他に向けさせたい北朝鮮としては、ISなど他国で活動するテロ組織や内戦中の国家のいち勢力に対して核兵器を提供するという戦略をとることも可能である。

 

このような状況を防ぐためには、朝鮮半島の非核化が最低限のラインであり、国際社会は北朝鮮に対して核の完全放棄と体制の維持がセットであり、核を維持する限り体制の維持は保証しない、という条件を突きつける必要がある。

アメリカに対しては最低限、核の完全放棄に対して北朝鮮への軍事攻撃の停止を飲ませる必要がある。交渉によっては軍事訓練も含む威嚇の停止も含まれるかもしれない。

北朝鮮に対しては核兵器の押収、核関連施設の解体と各設計図面の廃棄などを飲ませる必要がある。これらは中国などを主体とした国連軍の監視下で行うくらいの強制力が必要だろう。

 

問題はこの条件を北朝鮮が飲むかどうかだが、・・・まあ突っぱねるだろうなと。もう少し時間稼ぎをして、アメリカ本土の近くまで飛ぶミサイルを開発して、本当にやばくなったらデモンストレーションでカリフォルニア沖で実際に核爆発を見せれば黙るだろうくらいの事は考えていそうだ。

 

当面は経済制裁の強化の水準になるかもしれないけど、戦争になるのは時間の問題のように思える。スイスが仲介に乗り出すなど、完全に戦争前夜。当事者の一方が正恩より頭悪いトランプってのが絶望的。戦争回避の交渉とか準備にかかる時間を考えると、年明けあたりが最も可能性が高いか。

まあ、正恩とトランプがニコニコ笑って握手するという大どんでん返しの可能性もゼロではないのだけど。正恩がアメリカを狙わないという確約と引き換えに米北安保条約締結、というオチ。そしてノーベル平和賞がこの二人に贈られるという、ね。